結局、すべて一人で掃除をやって、いつもより一時間遅い下校となった。

「ごめんね、宙ちゃん……」

夕焼けに染まる帰り道をとぼとぼ歩いていると、雪がしゅんとしながら謝った。

「私が使役霊じゃないばかりに、宙ちゃんに嫌な思いさせて」
「謝らないで雪ちゃん。もとはと言えば、私に霊力がないのがいけないんだから」

妖狐の言った通り、雪は霊体というだけで、使役霊ではなかった。

霊体であっても、霊力を持つ人間のそばにいれば、その力を受けて物の怪に昇格することもあったが、霊力が無い宙といるならその可能性もない。