「ぎゃん!」

が、見えない壁に当たったかのように弾き飛ばされ、宙に抱き留められる。
次の瞬間、世璃瑠の目の前には、背の高い銀髪をなびかせた美麗の男が立っていた。
世璃瑠の使役霊。
妖狐だ。

「世璃瑠様に爪の先一本でも触れてみろ、その汚い毛皮を剥いでやる」
「馬鹿ね妖狐。その猫はただの霊体だから毛は剥げないのよ」

世璃瑠がせせら笑った。
他の生徒達もくすくすと嘲笑する。

「いいんだよ、雪ちゃん」

宙はなおも牙を剥く雪を抱き締めて笑顔を作った。

「わかりました、ここは私にお任せください」