世璃瑠の横暴が自分達からそがれたことに安堵した生徒達も、従うように宙に冷ややかな視線と冷笑を向けた。

「宙さん、私達は大切な用事があるので、残りのお掃除、あなたが一人でやってくださらない?」
「わ、私が?」
「何か文句でも? だって、あなたは霊力が皆無。虫の使役霊すら持てないじゃないの。そんな『底辺』はそれらしく、私達の役に立たねばいけないんじゃなくて?」
「ちょっと! そんなのあんまりじゃない!」

何も言い返せず俯く宙に変わって噛みついたのは、雪だった。

「宙ちゃんには私がいるわ! 私は宙ちゃんの言うことなら何でも聞くわよ!」

牙を剥く雪に、世璃瑠は冷ややかな高笑いを浴びせた。

「使役霊はなんらかの能力を持つもの。成仏せず付きまとっているだけの野良猫の霊が身の程をわきまえなさい」
「な、なにを~!!」
「だ、だめだよ、雪ちゃん……!」

宙の生死を聞かず、雪が世璃瑠に噛みつこうと身を躍らせた。