「まだまだ話を詰めないことが山積みだわ。由緒ある鬼鎮祭の仕切役に選ばれたのですもの、最高のものにしなくては。そのためには皆さんにもしっかりしてもらわなくてはならないのよ」

と、世璃瑠が腕を組んで威丈高に言う鬼鎮祭とは、古くからこの地域にある白龍神社が執り行う催事のことで、百年に一度しか行われない貴重なものだった。
開催される年は、地域の名家や縁ある家が仕切役となり、綿密な準備を行い、当日も参列するかたわら運営にあたる。

とは言っても、細かい雑務や祭後の食事会の対応などは仕切役以外の手伝いが行うことがほとんどで、張り切っている世璃瑠も、やることと言えばそういった人々に指図するくらいものだった。

同じクラスだからという理由だけで、なかば強制的に手伝い役に選ばれていたクラスメート達は、戸惑ったように顔を見合わせた。

「今すぐ打ち合わせをしたいのは山々なんだけれど、掃除がまだ――」
「鬼鎮祭の準備と教室掃除、どちらが大切だと?」

はねつけるように言い返され生徒達は黙り込む。

「それに、貴重な手伝い役のあなた達の霊力を、こんなことで無駄遣いすることなんかないわ。ここには、使役霊よりも下等な人がいるじゃないの?」

嫌な光を放つ目に見つめられ、宙はびくりと肩を震わせた。