ずっと、離さないで。
そう思ってゆだねた腕は、強く温かった。
紅い瞳。
血のように、炎のように恐ろしい色なのに、とても優しく見えた。
声は聞こえない。
でも、囁いている。
うったえている。
つん、と鼻の奥が痛んだ。
聞きたい。その声を。
恐ろしく低くて、恐ろしく圧がある。
私の胸を甘く震わせてやまない、愛おしい声を。
「待っているわ。ずっと、ずっと」
私はそう誓って、微笑んだ。
紅い瞳からこぼれた涙は、透明で綺麗だった。
牙を剥き出しにして歪めた唇から出た言葉は、声にならずとも、私の記憶の中に残っているのだった。
『愛している。必ず、またお前と出会う。幾百年の時を超えても、必ず――』