お父さんは相変わらず難しい顔をしているけれど、今、間違いなく「いいだろう」と言った。
 おばあちゃんは嬉しそうに「よかったね青花」と笑っていて、私も徐々に気持ちが解れていく。
 自分から言っておいてなんだけど、絶対反対されると思っていたから。
「ありがと、お父さん」
 私は小さな声で、でもたしかに、お礼を伝える。
 するとお父さんは、照れくささを隠すように、「くれぐれも無理は禁物だぞ」と言葉を添えた。
 許してくれた先生とお父さんのためにも、無理はしないと絶対に誓う。
 さっきよりもずっと味のする酢豚を口に運びながら、私は禄に早く会いたい気持ちでいっぱいになった。
 禄と一緒に、高校生らしい思い出がつくれるかもしれない。
 その事実だけで、胸の中が華やいだ。