それからの俺は、何もかもがどうでもよくなり、学校内のテストはテキトーに力を抜いた。何も知らない親から成績が下がったことを叱責されたけれど、全部無視した。事情を話すことがだるかった。
木下は親からの勉強の圧力が強く、そのストレスの捌け口が欲しかっただけだとあとから分かったけれど、俺は全部黙って暴力を受け入れた。
だって、何を言っても、意味がない。
誰からも信頼されない俺が何を頑張ったって、どうせ何にも繋がらない。
この先何をやったって上手くいかない。……俺が俺である限り。
中学校時代の思い出は、何ひとつ覚えていたくないことばかりだった。
〇
火曜日。半開きだったカーテンの隙間から朝日が漏れていて、俺はアラームの時刻より一時間早く目が覚めた。
久々に昔の嫌な夢を見てしまったせいか、寝覚めが悪い。
これが夢だと分かった瞬間、とてつもなく安心した。
ドッドッと静かに鼓動する心臓付近を手で押さえながら、俺はスマホのロックを解除する。
いつもゲームの通知しかこない画面に、【青花】の文字がある。
迷わず青花のメッセージを開封すると、そこには【ほぼ徹夜して眠い】という言葉とともに、月曜日の放課後に一緒にやったゲームのスクリーンショット画像が送られていた。
変わらない様子の青花に、心の底からほっとする。
伊勢谷のときのように、青花を簡単に失ったりはしたくない。
青花のためにできる何かをしてあげたいと、心から思う。
俺なんかに何ができるかなんて分からないけど、青花が笑ってくれるなら、それだけでいい。
パジャマ姿のまま起き上がると、俺はパソコンに電源を入れ、画面に向き合った。
あんな夢を見てしまったせいだろうか。もう〝あそこ〟には戻りたくないという気持ちが、自分を駆り立てる。
俺が何を頑張ったって、どうせ何にも繋がらない。そんな感情を、もうここで切り離したい。
カプセル越しの青花を見たとき――、俺は気づいてしまったんだ。
俺の人生は、青花の十倍以上のスピードで、過ぎ去っていくことに。
パソコン画面には、夏からぼちぼちいじっていたゲームのソースコードが並んでいる。
消したり作り直したりの繰り返しで、何がしたいのか分かっていなかったけれど、今はっきりとした。
青花のためになるゲームを、残してあげたい。
木下は親からの勉強の圧力が強く、そのストレスの捌け口が欲しかっただけだとあとから分かったけれど、俺は全部黙って暴力を受け入れた。
だって、何を言っても、意味がない。
誰からも信頼されない俺が何を頑張ったって、どうせ何にも繋がらない。
この先何をやったって上手くいかない。……俺が俺である限り。
中学校時代の思い出は、何ひとつ覚えていたくないことばかりだった。
〇
火曜日。半開きだったカーテンの隙間から朝日が漏れていて、俺はアラームの時刻より一時間早く目が覚めた。
久々に昔の嫌な夢を見てしまったせいか、寝覚めが悪い。
これが夢だと分かった瞬間、とてつもなく安心した。
ドッドッと静かに鼓動する心臓付近を手で押さえながら、俺はスマホのロックを解除する。
いつもゲームの通知しかこない画面に、【青花】の文字がある。
迷わず青花のメッセージを開封すると、そこには【ほぼ徹夜して眠い】という言葉とともに、月曜日の放課後に一緒にやったゲームのスクリーンショット画像が送られていた。
変わらない様子の青花に、心の底からほっとする。
伊勢谷のときのように、青花を簡単に失ったりはしたくない。
青花のためにできる何かをしてあげたいと、心から思う。
俺なんかに何ができるかなんて分からないけど、青花が笑ってくれるなら、それだけでいい。
パジャマ姿のまま起き上がると、俺はパソコンに電源を入れ、画面に向き合った。
あんな夢を見てしまったせいだろうか。もう〝あそこ〟には戻りたくないという気持ちが、自分を駆り立てる。
俺が何を頑張ったって、どうせ何にも繋がらない。そんな感情を、もうここで切り離したい。
カプセル越しの青花を見たとき――、俺は気づいてしまったんだ。
俺の人生は、青花の十倍以上のスピードで、過ぎ去っていくことに。
パソコン画面には、夏からぼちぼちいじっていたゲームのソースコードが並んでいる。
消したり作り直したりの繰り返しで、何がしたいのか分かっていなかったけれど、今はっきりとした。
青花のためになるゲームを、残してあげたい。