その質問に勝手にドキッとしながらもそう答えると、鶴咲は目を輝かせる。
「何やってるの? スマホゲーム? RPG? FPS? それともホラゲーとか?」
「FPS中心かな」
「そうなんだ! じゃあ、師走知ってるよね? 動画観たことある?」
そこまで素直に喜ばれると、どんな反応をしたらいいのか分からなくなってくる。
FPSとはいわゆるシューティングゲームで、本人視点で攻撃したり逃げたりするゲームのことだ。
いっそここで自分は師走だと伝えてみたら、彼女がどんな顔をするのか、見たくなってきた。
でも、クラスのやつにバラされたらだるいな……。
そう思うけれど、彼女は勝手に話を続ける。
「師走はね、実況の〝間〟がちょうどいいんだよね。ゲームの製作者側の意図も予想しきってるから、そこが面白い」
「へ、へぇ……、そうなんだ」
「師走がゲーム作ったりしたら、絶対面白いのできるだろうな」
「え」
もう授業には遅刻確定だけれど、俺の頭の中は彼女がふいに放った言葉でいっぱいになっていた。
なぜなら、本当に自分の将来の夢が、ゲームプログラマーだから。
じつは、師走とは別名義で、こつこつとゲームアプリを開発しているのだ。
自分の秘密を暴露されてしまう恐怖より、もっと鶴咲と腹を割って話したいという気持ちが勝ってしまった。
人と話してなさすぎたせいで、浮かれているのもあると思う。
だけど、俺は勇気を出して彼女に問いかけてみた。
「本当にそう思う?」
「え?」
「信じてもらえないかもだけど、じ、じつは俺、〝師走〟なんだよね……」
「え……?」
鶴咲の今までの反応を見ると、大声を出して喜ぶかと思ったけれど、彼女は痛いやつを見る目で眉根を寄せていた。
「それ、本当に……?」
「いや、えっと……」
「顔出しなしで全部が謎に包まれてる、最近登録者数が十万人になったばかりのあの師走?」
「登録者数までよく知ってるね……」
「ちょっと! 人差し指の付け根見せて!」
急にバッと手を掴まれたかと思うと、彼女はじぃっと俺の指を観察して、「本当だ……」と驚き震えた声でつぶやいた。
「ここにほくろがある! しかも、たしかに声も、似てる……」
「ほくろ? あ、本当だ」
「ちょっとYチューブのログイン画面見せて!」
「何やってるの? スマホゲーム? RPG? FPS? それともホラゲーとか?」
「FPS中心かな」
「そうなんだ! じゃあ、師走知ってるよね? 動画観たことある?」
そこまで素直に喜ばれると、どんな反応をしたらいいのか分からなくなってくる。
FPSとはいわゆるシューティングゲームで、本人視点で攻撃したり逃げたりするゲームのことだ。
いっそここで自分は師走だと伝えてみたら、彼女がどんな顔をするのか、見たくなってきた。
でも、クラスのやつにバラされたらだるいな……。
そう思うけれど、彼女は勝手に話を続ける。
「師走はね、実況の〝間〟がちょうどいいんだよね。ゲームの製作者側の意図も予想しきってるから、そこが面白い」
「へ、へぇ……、そうなんだ」
「師走がゲーム作ったりしたら、絶対面白いのできるだろうな」
「え」
もう授業には遅刻確定だけれど、俺の頭の中は彼女がふいに放った言葉でいっぱいになっていた。
なぜなら、本当に自分の将来の夢が、ゲームプログラマーだから。
じつは、師走とは別名義で、こつこつとゲームアプリを開発しているのだ。
自分の秘密を暴露されてしまう恐怖より、もっと鶴咲と腹を割って話したいという気持ちが勝ってしまった。
人と話してなさすぎたせいで、浮かれているのもあると思う。
だけど、俺は勇気を出して彼女に問いかけてみた。
「本当にそう思う?」
「え?」
「信じてもらえないかもだけど、じ、じつは俺、〝師走〟なんだよね……」
「え……?」
鶴咲の今までの反応を見ると、大声を出して喜ぶかと思ったけれど、彼女は痛いやつを見る目で眉根を寄せていた。
「それ、本当に……?」
「いや、えっと……」
「顔出しなしで全部が謎に包まれてる、最近登録者数が十万人になったばかりのあの師走?」
「登録者数までよく知ってるね……」
「ちょっと! 人差し指の付け根見せて!」
急にバッと手を掴まれたかと思うと、彼女はじぃっと俺の指を観察して、「本当だ……」と驚き震えた声でつぶやいた。
「ここにほくろがある! しかも、たしかに声も、似てる……」
「ほくろ? あ、本当だ」
「ちょっとYチューブのログイン画面見せて!」