そうか。今の板野さんは、コールドスリープの処置を終えて、一年間が三百六十五日ちゃんとある生活に戻れたんだな……。
今もこうして元気そうな姿を見られて、本当に嬉しく思う。
「ところで、再会したらずっと聞こうと思ってたことがあるんですけど、あのバズったゲーム、青花ちゃんの作ったゲームキャラをモデルにしましたよね?」
「あ……、バレた?」
突然ニヤニヤして質問してきた板野さんに、俺は苦笑いを返す。
「はい。じつは私も青花ちゃんにゲームのURLを教えてもらってたんです。試作品のチェック的な役割で」
「そうだったんだ。内容、驚いたでしょ?」
笑いながらそう問いかけると、板野さんは「はい、初見では訳が分からず……」と正直な感想を漏らした。
青花の作ったゲームは、いまだに自宅のPCにブックマークしてある。
幸いまだサーバーに接続できる状態だけれど、俺はあえてあまり開かないようにしてきた。
【新しい人生を歩みましょう】という青花の言葉を、ちゃんと受け止めなければと思ったから。
「でも何回かプレイして、青花ちゃんが伝えたいこと、何となく分かってきました」
「……うん」
「師走さんは……。いえ、神代さんは、新しい人生を歩めてますか?」
板野さんが、眉をハの字に下げて笑いながら、質問してきた。
俺はその問いかけに、一旦止まってしまう。
今の生活に不満はないけれど、何かが足りない。
青花がいなくなった場所はやっぱりまだぽっかり空いたままで、ふと何かをきっかけに彼女のことを思い出すたびに、会いたくて仕方なくなる。
青花が夢に出てくると、涙が出ていることもしょっちゅうだ。
俺はきっとまだ全然、心の底から立ち直れてなんかいないんだろう。
「……新しい人生にしたいと、ちゃんと思ってるよ」
その答えに板野さんはこくんと頷いてから、人差し指で自分の顔を指さす。
「……私もです」
泣きそうな顔で笑いながら、そう答える彼女。
青花が人に与えた影響の大きさを感じずにはいられない。
「青花ちゃんと、未来で会いたかったですね……」
「……うん」
本当は今も、この世界のどこかにいるかもしれないって、思うときがあるよ。
俺の知らないうちに猫か何かに生まれ変わって、どこかの優しい飼い主に愛されているとか。そんなありえないことを妄想して、日々を繋いでいる。
今もこうして元気そうな姿を見られて、本当に嬉しく思う。
「ところで、再会したらずっと聞こうと思ってたことがあるんですけど、あのバズったゲーム、青花ちゃんの作ったゲームキャラをモデルにしましたよね?」
「あ……、バレた?」
突然ニヤニヤして質問してきた板野さんに、俺は苦笑いを返す。
「はい。じつは私も青花ちゃんにゲームのURLを教えてもらってたんです。試作品のチェック的な役割で」
「そうだったんだ。内容、驚いたでしょ?」
笑いながらそう問いかけると、板野さんは「はい、初見では訳が分からず……」と正直な感想を漏らした。
青花の作ったゲームは、いまだに自宅のPCにブックマークしてある。
幸いまだサーバーに接続できる状態だけれど、俺はあえてあまり開かないようにしてきた。
【新しい人生を歩みましょう】という青花の言葉を、ちゃんと受け止めなければと思ったから。
「でも何回かプレイして、青花ちゃんが伝えたいこと、何となく分かってきました」
「……うん」
「師走さんは……。いえ、神代さんは、新しい人生を歩めてますか?」
板野さんが、眉をハの字に下げて笑いながら、質問してきた。
俺はその問いかけに、一旦止まってしまう。
今の生活に不満はないけれど、何かが足りない。
青花がいなくなった場所はやっぱりまだぽっかり空いたままで、ふと何かをきっかけに彼女のことを思い出すたびに、会いたくて仕方なくなる。
青花が夢に出てくると、涙が出ていることもしょっちゅうだ。
俺はきっとまだ全然、心の底から立ち直れてなんかいないんだろう。
「……新しい人生にしたいと、ちゃんと思ってるよ」
その答えに板野さんはこくんと頷いてから、人差し指で自分の顔を指さす。
「……私もです」
泣きそうな顔で笑いながら、そう答える彼女。
青花が人に与えた影響の大きさを感じずにはいられない。
「青花ちゃんと、未来で会いたかったですね……」
「……うん」
本当は今も、この世界のどこかにいるかもしれないって、思うときがあるよ。
俺の知らないうちに猫か何かに生まれ変わって、どこかの優しい飼い主に愛されているとか。そんなありえないことを妄想して、日々を繋いでいる。