就活は、人生の全部の運を使ったみたいに上手くいって、第一志望だった大手ゲーム会社に採用され、今はゲームプログラマーとして働いている。
「おはようございます」
「あ、神代。昨日の〝F7〟最新作の配信観た?」
「観た、グラフィックすごかった」
席に着いてすぐに話しかけてきたのは、同期の中川だ。俺のことをドット絵みたいだと表現した張本人。
黒いリュックを椅子にかけると、中川と昨日配信されたゲームの話をしながらパソコンを立ち上げる。
すると、黒い画面から、ドット絵の天使の画像に切り替わった。
中川はその背景画像をチラッと見ると、「やっぱりすごいよなーお前」と突然話題を変える。
「大学生のときに作ったゲームが、無料アプリランキングで一位取るなんてさ。しかもひとりで作ったって、天才かよ」
「いや、天才は中川でしょ。在学中に起業もしてて……」
「俺はこんなクリエイティブはできないよ」
そう、俺は、半引きこもりだった生活から一転し、大学生の後半はゲームの制作とプログラミングの勉強に全てを費やした。
腐っていた俺のことをずいぶん心配していた家族も、俺の豹変ぶりには心底驚いていただろう。青花に贈りたいと思って作ったゲーム……、それは、未来の想像を形にして、皆で育てて作るゲームだ。
主人公の〝ミライ天使〟は、青花が作ったキャラクターをモデルにした。
ドット絵の天使が、ユーザーに対し、『理想の未来』を詰め込んだ世界を作るように案内し、どんどん話が進んでいく、というシミュレーションゲーム。
『誰かと同じ未来はひとつもない』というキャッチコピーで配信を開始し、思惑通り個性にあふれた世界がたくさん創造された。
ほかのユーザーが作った世界にも簡単に行けるため、学生を中心に話題になった。
ガンクロさんが動画内で配信してくれたことによってさらにバズり、たった一日だけど無料アプリランキングで一位になったのだ。
あのゲームが流行ったのは本当に一瞬だったけれど、青花がデザインした天使のキャラが可愛くてウケたんだとも思っている。
……皆が自由に創造する未来を、天使になった青花が縦横無尽に駆け巡る。
そんな奇跡を目の当たりにしたときは、涙が出るほど……嬉しかった。
「あのゲーム、師走が作ってると知って驚いたし、その師走が同期だと知ってさらに驚いたな」
「おはようございます」
「あ、神代。昨日の〝F7〟最新作の配信観た?」
「観た、グラフィックすごかった」
席に着いてすぐに話しかけてきたのは、同期の中川だ。俺のことをドット絵みたいだと表現した張本人。
黒いリュックを椅子にかけると、中川と昨日配信されたゲームの話をしながらパソコンを立ち上げる。
すると、黒い画面から、ドット絵の天使の画像に切り替わった。
中川はその背景画像をチラッと見ると、「やっぱりすごいよなーお前」と突然話題を変える。
「大学生のときに作ったゲームが、無料アプリランキングで一位取るなんてさ。しかもひとりで作ったって、天才かよ」
「いや、天才は中川でしょ。在学中に起業もしてて……」
「俺はこんなクリエイティブはできないよ」
そう、俺は、半引きこもりだった生活から一転し、大学生の後半はゲームの制作とプログラミングの勉強に全てを費やした。
腐っていた俺のことをずいぶん心配していた家族も、俺の豹変ぶりには心底驚いていただろう。青花に贈りたいと思って作ったゲーム……、それは、未来の想像を形にして、皆で育てて作るゲームだ。
主人公の〝ミライ天使〟は、青花が作ったキャラクターをモデルにした。
ドット絵の天使が、ユーザーに対し、『理想の未来』を詰め込んだ世界を作るように案内し、どんどん話が進んでいく、というシミュレーションゲーム。
『誰かと同じ未来はひとつもない』というキャッチコピーで配信を開始し、思惑通り個性にあふれた世界がたくさん創造された。
ほかのユーザーが作った世界にも簡単に行けるため、学生を中心に話題になった。
ガンクロさんが動画内で配信してくれたことによってさらにバズり、たった一日だけど無料アプリランキングで一位になったのだ。
あのゲームが流行ったのは本当に一瞬だったけれど、青花がデザインした天使のキャラが可愛くてウケたんだとも思っている。
……皆が自由に創造する未来を、天使になった青花が縦横無尽に駆け巡る。
そんな奇跡を目の当たりにしたときは、涙が出るほど……嬉しかった。
「あのゲーム、師走が作ってると知って驚いたし、その師走が同期だと知ってさらに驚いたな」