できることと言えば、1日断食と、自分のお風呂でできる半身浴くらいだろうか……。
そしてもう1つ気がかりなのは……下着だ。
引き出しを開け、中のラインナップを覗いて、絶望した。
綺麗さのかけらもない、胸を支える機能だけに特化したブラに、着心地を優先した綿のパンツばかり。
上下そろっているものは、ほとんどない。

「ど、どうしよう……」

明日近所のスーパーに行けば、それなりのものが買える。
でも、それなりで……いいのだろうか。
私は少しだけ考えた。そして、ネット通販で下着を検索した。
普段お店でだったら絶対買わないような、自分の体のサイズに合いそうな下着がたくさんあった。
その中で、レースがふんだんに使われていて、リボンやパールのビーズで可愛く飾られているものに心惹かれた。

「かっ……可愛い……」

服はまだ、店で見立ててもらう勇気は持てた。
むしろ、見立ててもらったからこそ、ちゃんと体型隠しができるコーディネートを付け焼き刃でもできた、と思っている。
けど、下着は無理だ。
この裸を、店員の前に晒す勇気なんか皆無。

「か……買う?」

値段を見て、ほんの少しだけ躊躇った。
これを買えば、今月の課金ができなくなる金額だったから。
でも結局は、着替え分も合わせて、私は買ってしまった。

次の日は、1日水だけしか口に入れない断食ダイエットもした。
さらに、朝一で近所のドラッグストアに駆け込み、ボディケア商品や痩せ効果のある入浴剤を買い込み、ほとんどの時間お風呂場で過ごした。

こんなことをしたのは、下手したら就活時代以来だった。
だけど、ありのままの自分をさらけ出して、樹さんに嫌われることが怖いと思うくらいには、樹さんの事を好きになっていたのだろう。
そんな事を気づいてしまった自分が、やっぱり気恥ずかしく、風呂の中で悶えたのは私だけの秘密。