それから3週間。

「家デート」
「攻略法」

という検索ワードで見つかった記事や、断捨離方法を解説している動画を見ながら、試行錯誤した結果、お部屋改造はお家デートの2日前の夜、無事終わらせることができた。

(……どうにか大丈夫だろう……)

労働の後のホットココアを嗜みながら、ほっと一息ついた、そのタイミングで私は、気づいてしまった。
お家デートでするべきことに。

(どうして、それをすっかりと忘れていた自分!!)

思わず、ぶん殴ってしまった。
頭のToDOリストの最優先事項が「部屋片付け」しか書いていなかった自分を、グーで。

お家デートは日曜日。
時間は、正午を過ぎた頃。
この曜日と時間を指定したのは、樹さんだった。

「次の日は平日だし……」

と、樹さんが説明してくれていた。
都合の良いように解釈するならば、この日はそう言う関係にするつもりはない、という樹さんの意思表示だろう。

(こんな体と、あんなことをしたいとは……思わないよね……)

少なくとも自分だったら、まず思わない。
私は、勇気を振り絞り、今まで避けていた全面鏡の前に立って、自分を客観的に見てみることにした。

「……ま、まずい……」

ムダ毛は生え放題。
肌はボロボロ。
顔も浮腫だらけ。
肉の量は言わずもがな。
そういうこと、を意識した自分磨きは、一切していなかった。

「ははは……考えすぎ……だよね……」

そんな関係に、すぐなることは……ないだろう。
だけど、万が一、そういう空気になったとしたら?
いや、空気にならなかったとしても、だ。
ちょっとでも自分の体の粗に樹さんに気づかれてしまったら……。

(そ、備えだけでも……)

期待をしているわけではない。
あくまでも、リスクヘッジ。
私は誰も聞いていない言い訳をしながら、昔買ったダイエット本を、引っ張り出した。