優花との、2回目の待ち合わせの日。
前の予定が押してしまい、待たせてしまうという失態をしたが、同時にチャンスも得た。

優花が、俺を待っている間に読んでいた雑誌で特集されていたのは川越の神社。
縁結びで有名であることは、俺でも知っている知識。
そんな特集を、優花は食い入るように見ていた。
何を見ているのかと、優花に気づかれないように、こっそり覗いてみると、浴衣を着た女性の写真だった。

俺は、優花の浴衣姿を瞬時に想像してみた。
恥ずかしそうに、微笑むだろうか。
それとも、とびきりの笑顔を向けてくれるだろうか。
それに、川越には縁結びの神様がいるパワースポット
でもあると、記事に大きな文字で書かれている。

(決めるなら……ここか)

本当なら、もう少し距離を縮めてからの告白という流れが良いのかもしれない。
だけど、優花には、そんな時間すら惜しいと思った。
少し分かってきたことがあるとすれば、優花はやはり、恋愛に関する話を徹底的に避ける傾向がある。

昔見たアニメの話、趣味の話であれば長い時間メッセージのやりとりも付き合ってくれる。
だけど、そこに少しでも恋愛……俺の優花への想いを匂わせる言葉を送っても、それについては一切返ってこない。
徹底的に。
まるで、そういう内容だけ、完全にブロックしているんじゃないかと思う程。

吉川くんについこの間、相談してみた。
友達の話だと前置きをした上で。
すると、彼からは

「むしろ嫌われたくないからこそじゃないですかね?」

という回答。
彼曰く、本当に恋愛対象として自分のことを見られたくない場合は、そもそもメッセージすら適当に流すケースの方が圧倒的。
だけど今回の場合は、メッセージはむしろ長く続く。
そこから推測した、吉川くんの仮説は

「恋愛の話になると逃げ越しになるってことは、そこで関係が崩れるのが嫌とか、そう言う系じゃないですか?知らないっすけど」

ということだった。