彼女は、いつも何かに怯えていた。
最初に会った時から。

他の人は、つまらないと切り捨てた俺の話を真剣に受け止めてくれたのは、彼女だけだった。
だから俺は、心に壁を作ることなく、素直に色んな事を話すことができた。
こんなことは……40年生きていて……初めてだった。

人は、俺に完璧を求め続ける。
言葉も、態度も、仕草も……選択の間違いは1つ許してくれない。
それは、父も母も……学友も……職場で会う全ての人も例外なく。
そして、俺の選択に、1つでもミスがあったら、皆が俺を徹底的に攻撃する。
まるで、鬼の首でも取ったかのように……。

優花。
俺はまだ、君に話せないことが、たくさんある。
いつか、話さないといけないことだと……分かっても、いる。
それでも俺は、もう君を手放したくない。
君を、選びたいんだ。

だから、お願いだ。

「釣り合わない」

そんな他人の言葉で、俺を君の世界から排除しないでくれ。
俺に、君を選ばせて欲しいし、君に俺を選んで欲しいと、強く思っている。

俺と君は、間違いなく平等。
君が怯えるのと同じように、俺だって怯えている。
君に、選ばれないかもしれないと考えない日はないのだから。