できるなら、こんな俺の過去は、優花には知られずにいたかった。
俺の過去を知られる事は、俺の不完全さや醜さを知られる事と同じだから。
だけど、もう、ここまで来てしまった。

機内の窓からうっすら見えるエメラルドグリーンの海が、間も無く目的地に着くことを教えてくれる。
周囲の乗客のほとんどは目を覚めているのか、各々の朝支度を始めている。
そんな中で、優花はまだ……ぐっすりと夢の中。
俺の方を向いて、幸せそうな笑みを浮かべていた。

本当なら、このまま寝かせておいてやりたい。
だけど、そんな事は許されない。
いつか、必ず時が来る。
目覚めさせなくてはいけない時間が。
選択を……受け入れなくてはいけない時間が。