それから、ほんの1時間後。
ケビンは、リビングの広いソファで大の字になって寝ていた。

「ごめんね、お父さんが変に絡んで」

俺とマオは、ケビンを残してダイニングに場所を移した。

「同じ職場の時は、もっと酷かったんで」
「ほんごめんなさいね、迷惑かけて。心配だわ……」

この時は、親想いの、とても良い娘さんだなと思った。
ケビンの遺伝子は、人を幸せにするんだな……と、ケビンがいかに偉大かを感じた。イビキはうるさいが。
そんなマオから、急に、不思議な問いかけをされた。

「ねえ、イツキ。頼みがあるの」
「何ですか?」
「あなたから、1つだけ奇跡を貰いたいの」
「奇跡……ですか?」

一体どういうことだろう。
そう思った時だった。
急に目眩が襲ってきた。