彼らが俺を連れ出したのは、徒歩5分程で着くビーチだった。

呆然と2人がビーチの上にビニールシートを敷いている様子を眺めている俺の格好は、ハワイのコンビニで売られている、HAWAIの文字が入ったTシャツと水着。
どちらもここに来るまでの間、ケビンが勝手に購入したもの。

「さあ、食べましょう」

マオがビニールシートの上に置いたのは、コンビニで調達したサンドウィッチやフルーツ、ポテトチップスなどのお菓子を片っ端から並べ始めた。
それにココナッツジュースやグアバジュース、ミネラルウォーターなどの飲み物。

「ごねんね〜ハワイはね、公共の場でお酒飲めないから」

と、マオが説明してくれたが、そんなことよりも……。

「ケビン?」
「何だね?」
「何をするんですか?」
「何も」
「は?」

ケビンとマオは、にかっと笑いながら

「今日は、陽が暮れるまでここで丸一日ゴロゴロする!」
「あ、海に入りたかったら、いつでも入って良いからね。私たちここで読書してるから」

そう言うと、2人はさっと慣れたように横になりながら、サンドウィッチやポテトチップスを頬張り始めた。

(ええ……と……)

そうして、取り残された俺。
ゴロゴロするにしても、久々の眩しい太陽の下。
すっかり目が冴えていた。
仕方がなく、エメラルドグリーンの海にぷかぷか浮いてみたり、言われた通りゴロゴロしてみた。
久々の、ちゃんとした外の空気を吸ったせいだろうか。
体の奥底に、じんわりと酸素が染み込んでいくような気がした。