汗が引き、息は整ったところで、俺は優花に尋ねた。

「どうしたの?道に迷った」
「あ、いえ、そうではなくて……」

優花が、少し言いづらそうに口をもごもごさせた。
一体、どうしたと言うのだろう。
でも、ここで言葉を急かすのは違うと、俺は知っている。
優花は、じっくりと考えてから話をする癖があるから。

「実は聞きたいことがありまして……」
「聞きたいこと?」
「樹さんのお子さんの件です」
「……え?」
「ハワイにいるん……ですよね?」
「ど、どうして……」

優花の口から、あの子の事が話されることに、俺は戸惑いを隠せなかった。

「誰から聞いた?」

唇の震えを抑えながら、そう聞こうとしたと同時に

「女の子ですか?男の子ですか?」

と優花が聞いてきた。