ショックだったのは彼女に嘘をつかれた……という事実だけに……ではない。
彼女が俺を、どんな些細な事であるとは言え、嘘をつかないといけない存在だと、思われていたことにもだ。

彼女が、俺に全てを委ねても良いと思えるほどには、俺を信用していないという証だから。

皮肉だ。
俺自身は、優花に全てを曝け出すのを怯え、1度は隠そうとした。
その上で、結局他人の介入により……真実を伝えざるを得ない状況になってしまった。
覚悟は、決めたつもりだったけど、その日が来るのを怯えている。

そんな男だ。
にも関わらず、優花には、俺に全てを見せて欲しいだなんて……。

きっとこれから俺が、彼女に与えるショックは……こんなものじゃないだろう。

俺の側にいて欲しい。
それ以外、何も望まないから、どうか俺を捨てないで。

恥ずかしい本音だ。
でも、もしも。
全てを告白した上で、優花が俺を拒絶してしまったら……。


俺は、もう1つの覚悟もしないといけないだろう。
そんなことを考えながら、俺はあの人に連絡をした。