俺のたった一言で、顔を真っ赤にさせる可愛すぎる優花への欲望が膨れ上がる。
それと同時に、重くのしかかってくる、俺の過去。

……橘の件もある。
いつ、奴が優花に接触をしてくるか分からない。
今日、優花の家の最寄駅で俺を待っていたくらいだ。
優花の家まで……もしかしたら掴んでいるのかもしれない……。
でも、まだ仮説の段階で優花に事情を話したところで……無闇に怯えさせるのも本意ではない。

幸い、優花は自宅で仕事をしているため、平日の外出機会はほとんどないと聞く。
せいぜい、仕事終わりに買い出しに行くくらいらしい。

(土日は俺が守れば良いとして……平日に極力1人で外出させるのは止めさせた方が良いだろう……)

それでも、どこかで漏れる可能性は、0ではない。
あの子の事を知っているのは、ごく一部だけだったはずなのに、橘はどう言うわけか知っていたからだ。
つまり、秘密はどんなに取り繕っても穴があり、予想もしない形で明らかにされてしまう……ということなのだろう。

……どうするのがいいのか、本当の正解は分からない。
だけど、俺の過去は他人から優花に伝わるくらいなら、ちゃんと自分で伝えるべきだろう……と……覚悟を決めるしかないと悟った。