「何故……」
「別に個室じゃないんだから」
「そういう事じゃない……!何で彼女の写真を撮るんだ」
「あぁ?お前の付き合いが一気に悪くなったんだから、原因探りたくなるっていうのは……普通の感覚じゃねえの?」

何が普通の感覚だ。
そうやって、この男は俺の過去を、次々と貪ってきた。
こいつは、普通じゃない。
少なくとも、俺にとっては。

「何が目的だ」

俺は、優花の写真を橘から奪い取ろうと手を伸ばす。
だが、ひらりと橘に交わされる。
この男に、優花の存在を知られたのは誤算だった。
何をされるか、分からない。

「人が金払って貰った写真だからなぁ……簡単に渡すわけには、いかねえんだよな」

橘は、優花の写真をゲスい目で見ながら

「見れば見るほど、ブスだなぁ……!こんなんの横にいたら、俺だったら吐き気がするぜ」
「お前に何が分かる」
「へえ……。何にも興味がありません、ってスカした顔ばかりしてたお前を、そんな顔させるなんて……。よっぽど床上手なのか?」
「やめろ……!!!」

橘が、優花を愚弄することは、到底許せることじゃなかった。
気がつけば、俺は橘の顔を殴りつけていた。