「何の用だ」
「おうおう、冷たいねぇ……。せっかくまた良い案件来たから依頼してやろうと思ったのに、ちっとも通話に出やしない。メッセージにも返信しない」

それは、彼女とのメッセージに夢中だったから。
……なんて、この男には口が避けても言いたく無い。

「お前に、関係ないだろう」
「ふーん……そんな事言って良いんだ?俺に」

橘は、含みがある笑みを浮かべて、俺に近づいてくる。
手は胸ポケットに入れたまま。

嫌な予感がした。

「なあ、氷室ぉ……お前随分と女の趣味悪くなったんだな」

そう言うと、橘は胸ポケットから1枚の写真を取り出し、俺にちらつかせた。

「お前……!」
「これ、どうしようかなぁ?なあ、氷室?」

そこに写っていたのは、優花の笑顔だった。