樹さんは、その後も続けて早口で

「俺と君は、間違いなく平等。君が怯えるのと同じように、俺だって怯えているんだ」

と、私に訴えかけてきた。

(どうして……私なんかに……)

私は戸惑った。
私なんかのどこに、ここまで求められる要素があると言うのか。
聞いてみたいと、思った。
でも、どう聞けば、今1番私が欲しい答えが返ってくるのだろうか?
数十秒間ほど考えた。
そうしてたどり着いたのが、これだった。

「どうすれば、樹さんにもっと好きになってもらえるんですか?」

樹さんは、ほんの少し悲しげな表情をした。

「ありのままで」

と言ってから、また私を抱きしめてくれた。
私は、彼の言葉と抱擁を受け止めながら、また泣いてしまった。