「それじゃあ、行こうか」
「はい」
樹さんは、私を助手席に座らせてから運転席に座り、慣れた手つきでエンジンをかける。
私も免許は持っているが、学生時代に取ってから1〜2回程練習で親の車を運転させてもらったっきりだ。
だから、シートをセットしてからミラーを調整し、サングラスをかけるまでの樹さんの流暢な手つきに、見惚れてしまう。
(ほんと、樹さんって何やらせても様になるな……)
「優花……」
今まで黙って運転をしていた樹さんが、急に話しかけてきた。
「何ですか?」
樹さんは、左手で私の手を軽く掴んでから
「そんなに見られると、穴が空くよ」
と恥ずかしそうに言ってきた。
(それはこちらのセリフです……)
樹さんは運転中ということもあり、顔こそこちらに向けなかったが、私の手を丁寧に撫でてくる。
緊張もあるのか、手汗がどんどん出てくるのが分かる。
樹さんに嫌がられる前に、離して欲しい。
だけど、樹さんのひんやりした手があまりにも気持ち良くて、このまま触れていて欲しいとも、思ってしまう。
(こんなこと考えてるなんて、樹さんに知られたら嫌われないかな……)
そんな事を思いながら、横の窓に視線を向けてみた。
いつの間にか、高速に入っており、景色の流れがどんどん速くなっていくのが分かった。
(あ、速いな……)
スピードを意識してしまったからだろうか。
急に胸のあたりがムカムカし始めたかと思うと、あっという間に吐き気に襲われた。
「はい」
樹さんは、私を助手席に座らせてから運転席に座り、慣れた手つきでエンジンをかける。
私も免許は持っているが、学生時代に取ってから1〜2回程練習で親の車を運転させてもらったっきりだ。
だから、シートをセットしてからミラーを調整し、サングラスをかけるまでの樹さんの流暢な手つきに、見惚れてしまう。
(ほんと、樹さんって何やらせても様になるな……)
「優花……」
今まで黙って運転をしていた樹さんが、急に話しかけてきた。
「何ですか?」
樹さんは、左手で私の手を軽く掴んでから
「そんなに見られると、穴が空くよ」
と恥ずかしそうに言ってきた。
(それはこちらのセリフです……)
樹さんは運転中ということもあり、顔こそこちらに向けなかったが、私の手を丁寧に撫でてくる。
緊張もあるのか、手汗がどんどん出てくるのが分かる。
樹さんに嫌がられる前に、離して欲しい。
だけど、樹さんのひんやりした手があまりにも気持ち良くて、このまま触れていて欲しいとも、思ってしまう。
(こんなこと考えてるなんて、樹さんに知られたら嫌われないかな……)
そんな事を思いながら、横の窓に視線を向けてみた。
いつの間にか、高速に入っており、景色の流れがどんどん速くなっていくのが分かった。
(あ、速いな……)
スピードを意識してしまったからだろうか。
急に胸のあたりがムカムカし始めたかと思うと、あっという間に吐き気に襲われた。