まぁ、まだ奴隷という身分が解消されたわけではないから、生きづらいんでしょうけど……
きっと、いつか解消されるはず。
そう願うしかない。
「俺はあなたのところに行きたいです」
「えっ……」
今まで言葉を発してなかったから、初めて言葉を発してくれたことも驚いたけど……まさか、私のところに行きたいと言うなんて。
でも、ここで捨てたら、中途半端に助けたことになるかもしれないわね。
「……分かったわ。ついていらっしゃい」
ひとまず、家に連れて帰りましょう。
ただ、お父様の許可が必要になるわけだけど……許してもらえるかしら?
そのことを考えて不安になっていた私は知らなかった。
まさか、この時後々関わることになる3人の男が見ていたなんて。
私は知る由もなかった。
*
「ご主人様は何故俺を助けてくれたんですか?」
公爵家へ向かう途中、突然そんなことを聞かれた。
理由ね……
「前の私を想起させたあの貴族の男をもう見たくなかったから」
嘘つく理由がないから、正直に答えた。
多分、そう。
だから、この子を助けたいと思って、助けたわけではない。
結局、性格はそう変わらないわね。
「申し訳ないけど、あなたを助けたいと思って助けたいと思って助けたわけではないわ」
変えないといけないとは思ってる。
でも、もうすでに性格は最悪。
どうすれば、変われるのかしら。
「それでも、俺は嬉しかったです。あそこで一生を終えるのは嫌ですから」
そう言ってもらえると、助けた意味がある。
自分のためにこの子を助けたけれど……
「そういえば、まだ名前を聞いてなかったわね。あなたの名前は?」
「イクスです」
「イクスね。さっきの貴族の男性には言ったけど、改めて自己紹介するわ。私はミルフィー・アイルデアよ」
自己紹介し終えると、ふと気になった。
それにしても……何なのかしら?
イクスの頭の上にある数字は……
何故か20という数字と隣にはパーセント。
そういえば、皇太子殿下の頭の上にも数字とその隣にパーセントが表示されていたような……
でも、お父様とか他の人のは見えないから、余計に分からないわ。
疲れていて、幻覚が見えているのかしら……?