「何ですか?」
それだけで嬉しく思ってしまう。
お父様は基本私を無視しているから。
「謹慎が解けたのだから、外で気分転換でもしてきたらどうだ?」
一応は私を気遣う言葉。
でも、私の方を見ずに告げられた。
一気に気分が下がっていくのを感じる。
「……そうさせてもらいます」
せっかくだから、そうさせてもらおうかしら。
そう思ったから、軽く頷いた。
「何か買うものもあるだろう。小切手を渡しておく」
それだけ言うと、自分の書斎にでも行くのか、立ち上がって出ていかれた。
テーブルには小切手が置かれている。
「食べ終わったら、すぐ出ていかれてしまうのね」
娘が残ってまだ食べているのに、お父様はすぐに出ていかれてしまう。
それが寂しいと思ってしまうなんて……
「期待なんてもうしないわ」
こんな気分になるくらいなら、期待なんてしたくない。
無駄に期待して落ちたくないのよ。
私も食べ終わると、立ち上がった。
テーブルに置かれている小切手を取りに行くと、それは1000億ゴールドに相当する額だった。
とんでもない額だわ。