私はミルフィー・アイルデア。


上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と位があるけれど、私は1番上の公爵家の令嬢。


プラチナブロンド色の髪に空色の瞳。


人は皆、私を悪役令嬢と呼ぶ。


公爵家の恥曝しだと。


「お父様、おはようございます」


「……」


挨拶をしても、帰ってこない。


これが私の日常だった。


私なんてそこに存在していないような扱いを受けて。  


私は愛されていない。


屋敷でもそうだし、腫れ物扱いは学園でも変わらなかった。


「あら、ミルフィー様が来られたわ」


「今日はどんなことを仕出かすのかしら」


ヒソヒソと聞こえてくる私の話題。


もちろん、それはいいものではない。


大半が私の悪口。


でも、それは直接的には言わない。


私は一応公爵家の人間だから、面と向かって言うことは多分できないんだろう。


「皆さん、おはようございます!」


「おはようございます、ソニア様!」


「今日も麗しいです!」


急に変わった雰囲気。


令嬢も令息もその人が来ただけで嬉しそうな顔をしている。


彼女の名はソニア・フルーエント。


整った容姿に加え、明るくさばさばとした性格。