「にん……しん……?」

彼は、驚いたように私の顔を見る。

「あ、あの……私……」

この場合、どうすればいいのか。
混乱した私は必死で脳内で
謝る言葉を考えていた。

すみません。
あなたの息子さんの子供を
妊娠してしまいました。

すみません。
妊娠していたことを
だまっていました。


……すいません。
私とあなたの息子さんは
きょうだいだったんです。

目の前にぐるぐると文字が
浮かんでは消える。
目の前の2人が
どんな表情で私を見ているか
分からない。

「羽奏!羽奏……!?」
「羽奏ちゃん!どうしたの!?」

2人が私の名前を呼ぶ声だけ
耳に残して
私は一気に闇に落ちていった。