彼に与えられる絶頂をこらえながら
私は時を待つしかなかった。

「羽奏、羽奏……好き……可愛い……」

刀馬くんの言葉と息が
どんどん荒くなっていくのを聞きながら
私は、あともう少しで
この幸せな時を
どうやって終わらせればいいのかを
考えていた。
そして待った。
全てを私の中に吐き出してからの
彼が唯一油断をする時間を。

「はぁ……」

全てが終わったあと、彼は大きなため息をつく。
それからすぐ、私をぎゅって抱きしめてくれる。

「すっごく可愛かったよ、羽奏わかな」

って、耳元で囁いてくれる。
私はそうされるのが、大好き……だった。

「ねえ、刀馬くん」
「何?」

私は、この大好きな時間を
手放すための言葉が
これ以外、どうしても思いつかなかった。

「私たち、付き合っちゃいけなかったんだよ」