大人たちは自分に都合のいいルールを作る。
社会のためという名目で。
でも、じゃあ私の、生物としての父は、母は、どうだろう。
彼らが倫理を守っていると言えるのか。

私は彼らの倫理の先に生まれた子供。
そしてまた、刀馬くんもまた、同じだ。

社会は、誰のために倫理を作るのか。
倫理は、誰のために守られるのか。

私のことは、誰が守ってくれるのか。
倫理?
社会?
どちらも今、私に牙を剝こうとしているではないか。

本当は、私を守ってくれるのは
刀馬くんのはずだったのに……。


私は、本当に
倫理を守るべきなのですか?
この世界の人は、
決められた倫理を
守っているのですか?


……本当に?
そうしなければ
社会は回らないのですか?



社会を回さなくては
私は生きてはいけないんですか?


でも私は生きている。
生かされている。


そしてこの子も
このお腹の中で
生きている。



その、倫理を守るのは
守るべきなのは





……誰のため?


第2章 終了