やめて。
ねえ。
どうして
あなたのような人が
彼の名前を言うの?
そう、言ってやりたかった。
でも……。
「返してください!」
スマホを取り戻すための言葉でさえ
すでに震えてうまく言えなかった。
涙が、出そうだった。
「はいはい。
いらないよ、こんなお子様のちゃっちいのなんて」
気持ち悪い男は
汚い指紋を液晶に
くっきり残したまま
私にスマホを投げつけてきた。
違う。
このスマホの価値は
ゴミのように扱っていいものじゃない。
私は2度と私の手から離れないようにと
胸に抱き寄せた。
「羽奏ちゃんさぁ……」
やめて。
私を羽奏と呼んでいいのは
彼だけ。
そして彼の家族だけ。
気持ち悪い。
一気に私の名前が
汚されていく感覚が
身体中を突き抜ける。
「今、いくつだっけ?」
私は答えたくなかった。
でも、布団をかぶるのも
怖かった。
私がこの男から視線を外した瞬間
何をされるのか
分からないと思ったから。
「高校生か。いいね」
男は、壁にかけられている
私の制服に目をつけていた。
中身がない、布切れなはずなのに
私は制服に同情した。
汚されて可哀想と。
「僕には高校生の子供が
2人もいるなんて……
感慨深いな」
「どういうこと?」
聞かなければよかったのにと
私は10秒後後悔する。
ねえ。
どうして
あなたのような人が
彼の名前を言うの?
そう、言ってやりたかった。
でも……。
「返してください!」
スマホを取り戻すための言葉でさえ
すでに震えてうまく言えなかった。
涙が、出そうだった。
「はいはい。
いらないよ、こんなお子様のちゃっちいのなんて」
気持ち悪い男は
汚い指紋を液晶に
くっきり残したまま
私にスマホを投げつけてきた。
違う。
このスマホの価値は
ゴミのように扱っていいものじゃない。
私は2度と私の手から離れないようにと
胸に抱き寄せた。
「羽奏ちゃんさぁ……」
やめて。
私を羽奏と呼んでいいのは
彼だけ。
そして彼の家族だけ。
気持ち悪い。
一気に私の名前が
汚されていく感覚が
身体中を突き抜ける。
「今、いくつだっけ?」
私は答えたくなかった。
でも、布団をかぶるのも
怖かった。
私がこの男から視線を外した瞬間
何をされるのか
分からないと思ったから。
「高校生か。いいね」
男は、壁にかけられている
私の制服に目をつけていた。
中身がない、布切れなはずなのに
私は制服に同情した。
汚されて可哀想と。
「僕には高校生の子供が
2人もいるなんて……
感慨深いな」
「どういうこと?」
聞かなければよかったのにと
私は10秒後後悔する。