私の手は震えていた。
だから、届けたい言葉を
うまく打ち込むことができない。

どうして。
嫌だ。
話をしたい。
助けて。

短い言葉しか
浮かんでこない。
それにも関わらず
そんな単語すら
今私は、スマホに入力できない。

どうして?
どうしてどうして?

手が震えすぎたからだろうか
スマホが私の手を離れた。
あれだけしっかり
布団をかぶっていたはずなのに
いつのまにかその布団は剥がれてて
スマホは床に転がっていった。

待って。

手を伸ばして
スマホを取り戻そうとした。
でも、そのスマホを取ったのは
私ではなかった。

汚い毛深い足が目に入る。
無意識に顔をあげて
後悔した。
彼より、ずっと汚い雄が目に入る。
グロテスク、という言葉が
よく似合うと思った。

先ほどまで、母だったはずの女と
楽しんでいた男が
全裸で私を見下しながら
気持ち悪く笑っていた。

そして……


「君、刀馬の知り合い?」