それから、私たちはようやく連絡先を交換した。
私が彼の名前を刀馬と知ったのも
彼が私を羽奏《わかな》と知ったのも
キスの次だった。

本当は、順番が逆だったのかも……。

私は彼の苗字もまだ知らない。
彼がどこの学校かも知らない。
何が好きかも知らない。

彼も、私の苗字を知らない。
私がチョコレートが大好きってことも
ぬいぐるみを抱かないと眠れないってことも
まだ知らない。

学校は……制服を着ているからバレているかもだけど。

でもそんなことを知るよりも先に
私たちは、キスがしたかった。
触れ合いたかったんだ。