「昨日、お父さんから怒られたんだけど、マジでうざーい」
「お母さんも、あのドラマ好きなんだよね〜。一緒に見てるんだ」

そんな風に、クラスメイト達が話しているのを聞いたことがあった。
そんな風に、私は考えたことは1度もなかった。

私にとって、家とは
1人でご飯を食べて、
1人でテレビを見て、
1人でお風呂に入って
1人で眠るだけの場所。

そういうものだと、思ってた。
でも、周りは違うみたいだった。

「ねえ、羽奏もそう思うでしょ?」

クラスメイトから聞かれた時、
私はどう答えていいか分からなかったから
適当に笑うだけだった。

クラスメイトたちには、当たり前の世界が
私にはない。

それが、さみしかったと知ったのは
彼と出会ってしまってから。