「どう言うことなの?」

私が尋ねると
彼はぽんぽんと
私の頭を撫でながら

「君がよく自習室にいるから
話しかけてみようかなって言うからさ……
邪魔するのは止めとけって、言ってたんだ」

し、知らなかった……。
一体どこで、彼と彼のお友達はそんな話をしていたのだろう。
予備校は、そんなに広くはないというのに。

彼は、私の頬を撫でながら

「最初は、見てるだけで良かった。
でも、見てる内に……ダチに取られるくらいならって……
あの日、ダチが授業を受けてる間に……自習室に行ったんだ」

あの日……というのは、私が初めて彼と話した日のことだろう。
隣の席に座って、初めて言葉を交わした日。

「ダチに悪いって、思わなかったわけじゃなかったけど……
でも行ってよかった」

彼は、私の唇を親指でなぞってくれる。

「ダチが、君にキスするなんて、絶対嫌だ」

それから彼は、また私にキスしてきた。
さっきベッドの上で覚えたばかりの
舌を絡ませあうキス。
お互いを味わうキス。

私も……刀馬くん以外の男子となんて
考えられない。
刀馬くんとだから……キスは気持ちいいのだ。

「んっ……」

呼吸を途中で入れながら
お互いの唇を味わいあっているその時だった。

突然、スマホの音が鳴った。