刀馬くんと私が付き合ったのは
ごくごく普通のきっかけ。

同じ塾に通う、高校生同士。


本当に、びっくりするくらい普通。


ただ、志望校は全く違った。

刀馬くんは、一流の大学狙いで、毎日遅くまで勉強していたらしい。
一方で私は、とくにやりたいこともなかったから、ゆる〜く通える大学に適当に入ればいいのかな……くらいにしか思ってなかった。

そんな私たちだ。
きっかけがなければ、決して交わることはなかったかもしれない。
むしろ、交わらない方が、良かったのかもしれない。

だけど、私たちは出会ってしまったのだ。
運命が、私たちをそうさせたのだろうと、刀馬くんは言ってくれたし、私も……そう思えた。

運命という言葉を信じたくなるくらい、私たちはお互いを必要としたのだ。