「ごめん」

急に、彼が謝ってきた。

「え?」
「急に、羽奏のことを、きょうだいって言って……」

確かに、最初は驚いた。
けど、頭が良い彼がしたことだ。
きっと、理由があるに違いない。

「……驚いたけど……平気」
「ああいう警察には、家族だって言った方が良いんだ」

確信めいた言い方。
もしかして……経験、あるのかな?

「すごいなぁ……」
「何が?」
「刀馬くん、何でも知ってるんだな〜って」
「いや、俺は何も知らないよ」
「嘘だ〜」
「本当だよ。だって……」

そういうと、彼が私の耳元で

「まだ、羽奏のこと、全然知らないから」

と囁くと、きゅっと私の手を握ってから

「もっと、羽奏のこと、いっぱい知りたい」

と言ってから耳たぶにキスしてくれた。

嬉しい……!

私も、その手を握り返してから

「私も、刀馬くんのこと、いっぱい知りたい……」

と言うと、刀馬くんの指が、私の指と絡められた。

本当に私と彼がきょうだいだったら
こんなに、互いの手のひらを擦り合わせるように
手をつないだりしない。

でも……そういえば……。