「羽奏、ごめん……」
「え?」

急に、彼が私の手を引っ張って
ちっちゃな公園まで走った。

「ど、どうしたの……!?」

彼は、私をベンチに座らせる。

「ごめん。もうちょっとだけ……」

そう言いながら、彼は私のすぐ横に座った。
嬉しい。
私も、もうちょっとだけ一緒にいたいと思ったから。

ここは外だから
手を繋いで肩を寄せるくらいしかできないけど
服越しに彼の体温を感じられるのが
嬉しかった。

「あと、5分だけ」
「うん」

出会ったばかりなのに
同じようにお互いを求める。
そんな男の子に
私が出会えるなんて……
夢にも思ってなかった。

スマホの時計を見ながら、
あと5分が来ない事を祈った。

その時だった。


「君たち、こんな夜に何してるの?」