「あ……」
「どうしたの?」
「もう、ついちゃう……」

手は繋ぎながら、歩いていた私たちは
今私と彼は、家の近所にある
ベンチとブランコ1つしかない
ちっちゃな公園を通り過ぎた。


ここまでくれば、家まであと少し。


どうしよう。
あとちょっとで
彼と離れ離れになっちゃう。


キスをした後も、離れがたかったのに
あんなことをした後って……
どれだけくっついても
くっつき足りない。

このまま、溶けて1つになれたらよかったのに。
同じ細胞になれればよかったのに。

そうしたら、こんなに寂しい思いはしないのにな。

そんなことを思いながら
私は自分のお腹にある、彼の種を想った。