「ねえ……刀馬くん……?」
「何?」
「刀馬くん……は……したことあるの?そのぉ……」

私以外の女の子と。

はっきりと、言葉にするのは怖くて、誤魔化した。
もしも、そうだと言われたら、私の心が一気にぺしゃんこにされると思った。

彼の言葉を待ってる間
言わなきゃ良かったって、後悔した。

「ごめん、やっぱなし」

私は、彼の匂いが染み込んだ毛布に潜り込む。
きっと今、可愛くない顔してるから
彼に見られたくないと、思ったから。

「羽奏、出てきて」
「ヤダ」
「羽奏。お願い」
「……嫌……」

ふう、とそこで彼はため息をついた。
クラスの男子のため息の音は、ただウザイって思うだけのに
好きな人のだと、トキメキの材料になる。

恋ってすごい。