男子の汗なんかクサイって、体育の時言ってた。
だから男子のロッカーになんか、罰ゲームでも行きたくなかった。
でも、彼の汗は違う。

この匂いが好き……。
もっと、この匂いを取り込みたい。
この匂いを、全て私のモノにしたい。

「羽奏……痛くない……?」

時々、腰を止めて私の状態を確認してくれる彼の優しさに、胸がときめく。
本当は、ジンジンと擦れた痛みがする。
でも、我慢できないわけじゃない。

重たい生理痛の時の方が、のたうち回って苦しくなるほど。

それにくらべたら
痛いと言ってしまって、彼がやめてしまったら
そっちの方がずっと嫌だった。

だから、私は彼の体をぎゅっと抱き寄せて

「大好き」

と言った。
彼は、私に何度も繰り返しキスをすると

「もう、我慢できない……!」

と、速く動き出した。
ぽたぽたと滴り落ちる汗が、私にも伝わる。
私から溢れ出る汗も、彼の体を濡らす。
すごい。
なにこれ。
どうして、他の人なら嫌だと、汚いと思うものが、こんなにも欲しいと思ってしまうんだろう。
愛しいと思ってしまうんだろう。