きっと私と刀馬くんは
引き剥がされて
永遠に会えなくさせられるかもしれないという
そんな予感がずっとあった。

「羽奏」

刀馬くんは
私の左手を
彼の左手で
握ってきた。
お揃いの指輪が
はめられている。

「俺たちは、一生この秘密を
守っていこう」
「本当に、それでいいの?」

私も、覚悟した。
この秘密を守ろうと。
だけど、苦しかった。
辛かった。
いっそ話せてしまえたら
どんなにいいかと
何度も思った。

そんな辛いことを
この人にさせても
いいのだろうか。

「羽奏と赤ちゃんを失う
苦しみに比べたら」

刀馬くんは
笑顔で即答してくれた。
私がこの世で
1番大好きな笑顔。

「ねえ、刀馬くん」
「うん」
「私たち、まだ結婚式してないよね」
「そうだね」
「今、ここでしようか」

この言葉で
私が何をしたいのか
刀馬くんは察してくれた。
そして、欲しかった言葉を
すぐに言ってくれた。