「……起きた?」
「うん……」

目が覚めると
刀馬くんだけが
私の側にいた。
パステルカラーの部屋には
赤ちゃんの
ベビーベットが
追加されていて
赤ちゃんはすやすやと
寝息を立てていた。

刀馬くんは
私の髪の毛を撫でながら

「話せる?」

と聞いた。
きっと、あの日のことだろう。
私には、頷く以外の選択肢は
なかった。

「前さ、羽奏が急に
俺と別れたいって言った日
覚えてる?」

私は頷いた。

「俺、ずっと考えてた。
どうして俺たちが
付き合っちゃいけないのかって。
何で羽奏は泣いていたんだろうって」

私は、何も言えなかった。

「羽奏、知ってたんだね。
俺たちが兄妹だったって」

私は、頷きたくなくて
唇を噛んだ。

「ごめんなさい……」

謝ることしか
思いつかなかった。