「え、何?妻って……お前ら……」

男は、私と刀馬くんを
指差しながら狼狽えた。

「じゃ、じゃあ……
お腹の子供って、まさか……」

やめて。
言わないで。

「俺と彼女の子供ですが?」
「は、はああ!?お前らマジかよ!?」
「ちょっと、真司くん!?」
「うるせえ黙ってろブス!」
「きゃっ!!」

男は、女を床に突き飛ばした。

「な、何よ……!もう知らない……!」

女は、颯爽と店の外に
飛び出していった。

残されたのは
私、刀馬くん、それにこの男の3人。

「お前ら、マジかよ……」
「どういうことですか?
あなた、羽奏の何なんですか?」

やめて、刀馬くん。
これ以上聞かないで。

「刀馬、俺のことわかんねえの?」
「そもそも、何故あなたは
俺の名前を知っているんですか?」

やめて。
もうやめて。

「そんなの決まってるだろ」
「やめて!!」

私は男の口を塞ごうとした。
その瞬間、お腹がちくりと
痛んだ。

「何だよ、せっかく
息子に会えたんだから
自己紹介くらいしたって
いいだろ」
「は?何を言って……」
「俺はな、お前らの父親なんだよ」