てっきり私は
今時の若者が行く
カジュアルな
服屋さんにでも
行くのかと思ったのに。
だから
身体を動かすのが
楽な服を選んだのに。

彼が連れてきたのは
高級な指輪ブランドだった。
決して大学生と
高校卒業しただけの
カップルが
遊び半分では
来ちゃいけないところ。

「ねえ、どうしたの?」

私は怖くなって
すぐに出たいと
彼に言った。

「大丈夫だから」

と、彼は言った。
その答えは
すぐに分かった。

「刀馬くん……これ……」

お店の奥にある
カウンターで
見せてもらったのは
小さいけれど
とても綺麗な
大きさが違う
2つの指輪。
結婚指輪だった。