それから、臨月に入るまで
私は極力息を潜めて
暮らした。

いつあの男が来ても
私の存在に気づかれない様に
私は私と赤ちゃんの存在を
この家から消す努力をした。

家からは一歩も出なかったし
窓から顔を見られない様に
外の様子も確認しなかった。

そのおかげかは分からないけど
あの男からの接触は
なかった。

きっと考えすぎだったのだろう。
夢は、自分の不安を
脳の中で具現化するものと
ネットで見たことがある。

忘れよう。
考えないようにしよう。
きっともう
2度とこないだろう。

そう、考えてすぐだった。
刀馬くんから

「一緒に外に行かないか」

と誘われたのは。