赤ちゃんの予定日まで
カレンダーに印をつけることを
毎朝の日課にした。
最初は、それが楽しみだったけど
予定日が近づけば近づくほど
私は夜に
あの日の夢を
見る様になった。

私の家だったところで
母だった女と
気持ち悪いセックスをしていた
汚いあの男。

このまま私が
赤ちゃんの秘密を
隠したとしても
あの男は少なくとも
刀馬くんの母親とは
繋がりがある。

あの男の種を
金で買ったのだと
聞いた。

ネットでは
そういう男は
お金がなくなったら
目的を無理矢理作ってでも
現れると書いてあった。

どうしよう。
もしあの男が
ここに現れたら。

いつも私の夢は
あの男が
この家の門の前に立って
私をニヤリと
見ているシーンで終わる。
あの男の髪の毛と
目の形が
刀馬くんによく似ていて
余計に苦しくなる。

だから私は
カレンダーに印をつけながら
願ってしまうのだ。
どうか
あの男が
この世界から
消えてくれます様に、と。

そうすればきっと
私が抱える罪も
消えてくれる気がするから、と。

そんな、叶うはずもないけれど
叶うものなら叶ってほしいと
本気で思う願いを呟くことが
私の日課に追加されてしまった。

その頃になってようやく
私の赤ちゃんは
ほんの少しではあるけれど
こちょこちょと
存在を教えてくれる様になった。

涙が出るほど
感動した。