ご飯も、寝る場所も
当たり前じゃないかもと
疑ったことは
1度もなかった。
それがすごいことだと知ったのは
シングルマザーの
SNSでの書き込みからだった。

私よりずっと大人な人でさえも
辛い、大変という言葉を
何度も繰り返し使っていた。
それを見てから
私はますます
赤ちゃんを産むためには
お金と安心が必要だと
考える様になった。

だから私は今
彼の母親を利用しているし
彼をも利用する。

そうして私は
赤ちゃんのために
社会に出て
お金を稼ぎ
赤ちゃんを立派に育てていく。
お金だけ与えたりしない。
私みたいな寂しい思いは
絶対させたくない。

ちゃんとした
他の家にいる母親になるために
いつか大学に行きたいと
ちゃんと思えるようになった。

何も考えずに大学へのルートが
開かれている時は
特に行かなくてもいいと
思っていたのに。
赤ちゃんが来てくれて
受験ができなくなったことで初めて
その大切さに気づく。

これは……赤ちゃんが私にくれた
チャンスなのだろうか。
兄と愛し合った私への罰ではなくて。

そう考えると
ほんの少しだけ
気が紛れた。