彼は、予備校の後に
私にその内容を教えるという方法で
勉強の仕上げをするようになった。
人に教える方が
勉強したことが身につくと
予備校の先生が言っていたからだそうだ。
私はそんな話を聞いていないので
きっと私が行かなくなった後に
聞かされた話なのだろうと思った。

これは、私にとっても
ありがたかった。
赤ちゃんを産むと決めたから
今年の受験は諦めた。
けれど、赤ちゃんを育てるためには
仕事が必要だ。

そう言う意味では
私の母だった女は
優秀だったのかもしれない。
少なくとも私が
お金の不安を覚えたことは
1度もなかったから。