明日なら、会いに行ける。

明日は、きっとできる。

そう思っていたけれど。

日が経つに連れ、ますます俺が琴莉のところに行くのが難しくなっていく。

俺の行く先には、必ず誰かがついてくるようになった。


「そんなこと気にするなよ」

「お前が守ってやればいいじゃん」


アメリカにいる友人達に相談した時に言われたが、気にしないわけにはいかない。

1度、俺はやらかしている。

2度はない。

今度琴莉が俺のせいで、傷つくことがあれば……琴莉も、そして琴莉の周りにいる人間も俺のことを許しはしないだろう。

今度こそ、2度と手に入れるチャンスを失ってしまうだろう。




俺は、幾つもの言い訳を重ねなくては、琴莉に朝話しかけることすら、自然にはさせてもらえなくなった。


不登校にあった、かわいそうな子。だから仕方がなく。


そういう、大義名分を重ねることで、琴莉への声かけだけは許される空気にはなっていた。


何かがおかしい。

どうして俺は、大好きな女の子と話すことすらできないんだ?

何度も繰り返し考えた。

そして1つだけ気づいたことがある。




俺は、琴莉が俺のことをどう思っているのか、知らない。

知るのが、怖い。

アメリカに行く前のような顔を、もう1度向けられたら、俺は立ち直れる自信がなかったから。



そんなことを考えながら、窓を開けた。

隣の、琴莉の部屋から幾つもの音楽が流れてきた。